特撮が好き


ヒロポは小学校で働いています。
4年生の男子が、百科事典を読みながら、
「クドウ先生、これ知っていますか?」
と話しかけてきました。
知ってるよ。ゴジラでしょ。きみの年くらいの時かな、映画館で観て泣いちゃったよ。
「それは、どのゴジラですか?」
ただの『ゴジラ』ってやつだよ。
「『ゴジラ』にもいろいろあると思うんですけど。」
えっとね、カラーのやつなんだけど、わかる?
「はい、1984年のゴジラですね?」


…こいつ、すごいかも知れん!


次の休み時間もやって来て、彼は話を続けた。
「ぼくは特撮が好きなんです。」


彼の言う特撮とは、ウルトラマン以前の特撮だ。


「『マタンゴ』って知ってますか?」
「『美女と液体人間』って知ってますか?」


次々と出てくる、昔の特撮映画!
何年に作られたか、登場人物はなんという名前か正確になぞりながら、ストーリー解説をしてくれた。
こいつ…マジすげぇ!
しかし、最後に、


放射能は恐ろしいんですよ。突然変異をつくるんです!」


と、力説しだした。
どうやら、様々な映画で使われている「放射能を浴びたら突然変異する。」という設定を信じているようだ。
ヒロポは、あえて「それ、ちがうよ。」と、正しませんでした。


夢とロマンと、ワザとじゃないギャグ。
それこそが特撮の魅力だと思うからです。
あと、大げさなのや、極端なのね。
きみみたいなね。


おちまい。