レンジャー


 こんばんは。ヒロポのじいちゃんじゃ。
 昔々、人から聞いたお話じゃ。



『レンジャー』

 ぼうやは生まれた時から体が弱かったのでした。
 お父さんとお母さんは、いつもぼうやの看病をしている優しい人でした。
 ぼうやはメガレンジャーが好きでした。
 メガレンジャーは強くて、悪いやつをやっつけるのでした。
「元気になったらメガレンジャーになるんだ」
 ぼうやはそう思っていました。


 ある時、お父さんは偶然、デパートの屋上でメガレンジャーショーをやっているのを見ました。
 お父さんはとてもいいアイデアを思いつきました。
 もうすぐ、ぼうやの誕生日です。
 メガレンジャーにおうちに来てもらって、ぼうやを元気付けてもらおうと、すぐにお願いをしておきました。


 早速ぼうやにそのことを教えると、
「やったあ、メガレンジャーに会えるんだ」
と言って喜びました。


 けれど、お医者さんは、「ぼうやの命はもう長くありません」とおっしゃいました。
 そして、さみしい夜がやってきました。
 ぼうやの具合が悪くなったのです。


「がんばれ、メガレンジャーが助けてくれるよ」
 お父さんとお母さんがそう言うと、ぼうやの指がピクッと動きました。


 がんばれ


 ぼうや


 がんばれ


 がんばれ


 けれども、ぼうやの心臓は止まってしまいました。
 その時、もうとっくに、ぼうやのお誕生日は過ぎていました。


「でもきっと、メガレンジャーが『一緒に遊ぼう』ってぼうやに言ってくれたんだと思います」


  おしまい。