だあれだれよだれの巻

ヒロポは高校生の時、図書委員をしていた。
楽だから。
そして、そのとき、司書の先生を見て、毎日パソコン画面に「ソリティア」がついているのを見て、ヒロポも漠然と「学校は嫌いだけど、将来、司書教諭になってみたい」
そう思ったのです。

で、今、契約社員で学校にいる司書の人って肩書きなので、半分は希望が叶ったことになる。
でも、高校生の時、図書室で将来の夢について雑談したのを覚えてるのだけど。相手は図書委員の女の子で。
実はヒロポはその人が好きだったので、話す度に緊張していたのだけど、その子に「工藤君は、将来、なんになりたい?」と聞かれて、とても焦った。
その人とは仲良かったけど、当時、ヒロポは学校に行ったり行かなかったり、夜な夜な下着を盗んだり(嘘!)ううおう、ともかくダメ人間だったんだよう!

「ヒヨコのオスとメスを見分ける人になりたい。」

とっさにヒロポはそう答えてしまった。
好きな女の子に。
でも、ちょっとなんかいいじゃん。ヒヨコ。
その子は、
「えーー。」
困惑していた。
ヒロポは気を利かせて、「ヒヨコが俺の事をとても慕っていて、俺が触らずとも、勝手にオスとメスにぴよぴよ言いながら分かれてくれるんよ。」とかわいい事を言って、その場を和ませた。
「わたしは、薬剤師になるよ。」
そう言って、一応笑ってくれた。

また別の日、再度同じ質問をされた。
七夕の飾りにはみんなが「国立の××大に合格する」と書いている中、ヒロポは「悟りを開く」と書いて担任に呼び出された時期だ。高校生にもなって七夕なんぞしやがってからに。で、この時の質問には、

「吟遊詩人になってあちこち旅をしながら詩を詠んで暮らす。」

と答えてしまった。
好きな女の子に。
でも、それってつまり、バンドでツアーしたいって事じゃん?
とはいえ、その子にはそんな比喩分かるはずもなく、また困惑的笑顔を浮かべていた。
「工藤君は、画家になるんだよね。」
笑顔で、そう言ってくれた。

ちなみに、その子は高校卒業後、東京大学とかいう聞いたこともない学校の理?だかなんだか知らんが、そんな感じのとこへ入学した。
方や、ヒロポは、えーっと、もう自分が行ってた学校の名前も思い出せないや。なんとか大学のなんか絵が描けるとこに進学した。
お金なんかどうでもいいから、これからもずっと、絵を描いたり音楽したり、そんな生活が続いたらいいな、と思う訳です。