ヒロポ先生ありがとう

小学校の図書室で働いて、早半年。
3月は別れの季節・・・。


 − さ よ う な ら  ヒ ロ ポ 先 生 −
      ヒロポ先生物語 最終章    

思えば、いろいろなことがあったなぁ。
絵本の読み聞かせして、小学生びびらせたり、授業抜け出して来た児童と司書室で絵を描いたり、先生とつげ義春ファンクラブ作ったり。
子どもからシャツにマジックでいたずら書きされたり(なめられているヒロポ先生)、エプロンのひもひっぱられたり(子どもだけでなく大人もする。どうかしてるぜ)、脇腹をつんつんされたり(あんただよあんた!)、先生に賞味期限切れのお菓子もらったり。


本日、最後の授業を迎えた2年生から、
「ありがとう 工どう先生へ」
と書かれた冊子をもらった。
みんなからのお手紙だ。
みんなからのメッセージを無許可で紹介させてもらう。きっと、みんなやさしい気持ちになれるだろう。

  • 工どう先生さんへ*1

メッセージ
火曜日は、いつも
ありがとううござ
いました。いつもかいけつ
ゾロリがありませんで
したね。でもときどきありましたね。


変な改行のしかただね。
かいけつゾロリ』は、小学生の間で絶大な人気をほこる低学年向けの本。
教育に悪そうなことがたくさん書いてある。
アニメ化もされてるんだよね。
「まじめにふまじめ かいけつゾロリ」ってね。
休日の朝7時からとかだから、一回も観たこと無いけど。
それにしても、なんかちょっと嫌味だなぁ。
楳図かずおの『洗礼』を電車の中で読んだから、ちょっと恐い。

  • 工どう先生さんへ

メッセージ
パンダ・コアラさがしてくれて
ありがとうございま
す。これでマントヒーヒーお
じいちゃんのことがわかりました。


太字の部分は、この子が自分で太字にしている。
この本をこの子はずっと探していたので、見つけて取り置きしてやったんだよなー。
そしたら、大喜びさ。
しかしなんだ?マントヒーヒーおじいちゃんて。
「お」の点、忘れてるし。

  • 工どう先生さんへ

メッセージ 火曜日に、
本をよんでくれたり
本のしょうかいをして
くねましたね。おかげで本が、
すきに、なりました。
これから、もがんばってください。


チッ。これは涙じゃねーぜ。花粉症なんだよぅ。
「くねました」と「これから、も」というのは間違いだけど、心に響く。
7才児にがんばってと言われるヒロポ。
どうだ、すごいだろう。

  • 工どう先生さんへ

メッセージ
いつもだきついて
ばっかりでごめんな
さい。またこの本どこって
きいたら答えてね。あとまた
本よんでね。


本当は、いくらでも抱きついたって良いし、何回だって「この本どこ」って聞いたって良いんだよ。ただ、学校だからなぁ。一緒に遊んであげられない。
しかし、この子だけは、なんのためにメッセージを書いているのか分かっていないみたいだね。メッセージを見る限りでは、お別れの文章ではない。お詫びの文章だね。
もうヒロポもみんなと会えなくなるのはさみしいよ。でも、ずっと覚えてる。みんなからのメッセージはヒロポの宝物にする。
しかし、彼の中で、ヒロポのことがいつまで存在できるかな。
たぶん、来年の今頃は、わすれてしまっているだろうね。
でも、きっと、いつか、もう一度ヒロポが読んであげた物語に出会ったときには、ヒロポのこと、思い出してくれ。

*1:「さんへ」というのは、もともと印刷されている文字です。子どもたちが今日は「くどう先生さん」と呼ぶから何事かと思った。