クララは立つときあきらめた あかとんぼ

ヒロポには好きな女の子がいます。
その子はおんなじ高円寺の街に住んでいます。


この前なんか、一緒に『セロ弾きのゴーシュ』を読んだんだ。
ヒロポも泣きそうだったけど、その子はもっと泣きそうだった。


ヒロポはその子のことが好きでたまらないけど、その子はヒロポのことが好きなのかわからない。
たまに、駅前の八百屋で買い物してるときなんか、ばったり会ったりもする。
そんなときは、ニコッと笑いかけてくれるんだ。
ヒロポは、どうしたらいいのかわからないから、今年は野菜が安くて助かるね、またトマト買うの?なんて言うんだ。


その子と約束していることがひとつある。
もし、地震やテロや、東京に大変なことが起きたら、中野のサンプラザ前で会おうって約束してんだ。
あのあたりは、どんなことがあってもぶっ壊れないように出来てるらしい。
だから、みんなも、この街がメチャクチャになったら、サンプラザに集まろうぜ。
そんで、なんか歌でも歌おうぜ。
きっと、テレビもぶっ壊れてて、まんだらけでパクッたマンガも読み飽きて、暇だからさ。
近所の、ゲイの発展場の公園に住み着いてるゲイも誘ってさ。


そんな時に歌いたくなるような曲を作りたいな、って思う。
そんで、その女の子に、もっとスゴイ約束もするんだ。
一生で一回だけの約束をするんだ。
みてごらん。
あかとんぼ。




暑すぎて脳にウジがわきました。