郷田三郎の青春

郷田三郎は8時51分高円寺発、津田沼行き総武線の電車に乗ってたんだよッ。
窓見てました。高円寺を同時刻に出た東京行き中央線が見えたから。だって、ほんのちょっとだけ総武線の方が早いのですから。ちょっとずつ抜かしていくのって楽しいですよ、やっぱり。
ジッと見ていてビックリした。中央線一両目、とても美しいあの人が乗っていたんだ。なんかここまで漂ってくるいい匂い。あれはまさしく女性専用車両。ははあ、どうりで見ているだけで良い匂いがするわけだ。ただでさえあの電車には女性しか乗っていないのに、あの人まで乗っているんだもの。あーなんであの人のことこんなに好きなんだろ。毎日毎日あの人のこと考えてる。こっち向けこっち向けこっち向けこっち向けこっち向け。向いたところでなんにも出来ないけど。
中野に着くまでの間、彼はずっとその女性の事を見ていたと言います。しかしかわいそうだよな、彼女が女性専用車両にいるばかりに、他の乗客はまったくブサイクに見える。みんなそこそこかわいいのにさ。憐れなことだぜ。かわいいのになー女の子って。OL、女子校生、派遣社員、アイドル、主婦、ニートメンヘルリスカ、看護婦、子持ち、尼さん、デパガ、園児、パチプロ、ピンサロ、ヤリマン、レズ、マリア様、しかしあの人どこに住んでんだろうか。俺絶対あの人と結婚する。結婚できなかったから誘拐する。もう決めた。ぜってーぜってーキモいって言われるけどこれしかねーあーなんでこんなに好きなんだろっつーかこれ恋じゃねぇ変態だよもし今考えてること周りのやつらにバレたら生きてけんな親とかにさ。
中野を出発したふたつの電車は、もう一度だけ並んで走った。しかし無情にも彼を乗せた電車は各駅停車、方や中央線は快速電車。哀れな彼はただじっと自分の行く末を俯瞰するしかないのであった。
こんなこと誰にも言えねーよなー、ぜってーひくし友達無くす。つか自分でもキモ。今日帰り@カフェ。





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