マリオの悪い癖

結局ヒロポは七福に出勤した。
店主マリオから呼び出されたのだ。
ぷららにFAX送って欲しいんだよね」
昨日送ったはずだが、不備があったらしい。マリオ(老人、ずんぐりむっくり)の話をきちんと聞き出して作業したつもりなのだが、マリオ(ヒゲ、アホ)の言うことは訳が分からんからな。しかしこれはヒロポが悪い。ヒロポはマリオのアホでカスなところをカバーするクソ虫(『ザ・ムーン』)じゃなきゃならないのだ。例え給料が貰えなくても、もはや、人命がかかっているのだから。
しかし出勤してみたら、マリオは自分でネットの契約書を見付けたようでFAXは済ませてあり、「何しに来たの」と言う表情をしやがった。やはり俺の手でこのバカを始末してやろうか。


今日のマリオのリフレイン。


「FAXしたから、電話止まらないよね?」
「分かりません」
「担当の人がね、もう帰っちゃったらしいんだけど、大丈夫だよね、コンピュータで処理するんでしょ」
「さぁ、僕にはなんとも」
「電話でお願いしといたんだけどなぁ。だから大丈夫でしょ?」
「僕はこんなハメになったことないので分かりません」
「だって、今日処理してくれなきゃネットも電話も解約になっちゃうんだよ」
「それはマリオさんが悪いんですよ」


「…そっか」




ついにマリオに勝った……。
と思いきや、


「でも大丈夫でしょ?」


ああー!気が狂うー!!
その根性他に活かせー!




どうしてもだれかに「大丈夫」と言って欲しいマリオ。




大丈夫だ、土星が輝いています。
南の空に。
あんなに輝いているのだから、
お前の白濁したその老眼でも見えるはずですよ。




あと何週間かしたら毎晩みるハメになるが。
と、思う。