■夢のある話

テクノのトラックに合わせて絶叫するデブがライブ終盤、全裸にひん剥かれて共演者に下着から何まで服を全部隠された上にiPhoneで動画取られた……そんな事が東京のライブハウスで行われた。
絶叫していた男の名をミツビシテツロウと言う。
ソロで「誰か俺に煙草をくれ」、そして「カタカナ」のドラマーでもある。
今日は彼の卒業制作展に行ってみた。
事前連絡などしない。
なぜなら冒頭で書いた「服を隠した共演者」は僕だからだ。ちなみに「iPhoneで動画を撮った」のも僕だ。そもそもライブハウスとはどんな場所かというと、なんでもアリの場所なのだ。もっとムチャしても良かったくらいだ。僕がやられたら怒るか泣くけど。つまり事前連絡ないくらいどーってことはない。


作品観に行ったはいいが、全裸の男はいなかった。つまらん。代わりに映像と音楽のインプロ装置が置かれていた。なかなか気持ちよかった。正直良かった。これなら全裸になる必要もないしつまらんことは全くない。
久しぶりに会った彼と、少し夢のある話をして帰路についた。


それから僕は池袋駅の改札入って気付いた。もうSuicaにお金入ってない。へへ、先にチャージしとくか。あっ、財布、ない。忘れた。



こうして僕は一生を駅の中で過ごす事になってしまった。
はて、どうしよう……。


みなさんチャージはお早めに。