出た!プチ電波さんの巻

電車に乗るヒロポ。中央線です。
小学校の勤務を終えて、派遣元の会社に来期の面談をしに行く途中。
携帯でスケジュール管理をしていたら、隣のおばさんが、
「お腹が痛くなる。」
と話しかけてきた。え?携帯やめろってことですか?
うなずくおばさん。
「携帯の電波がね、お腹に当たってちくちく痛いのよ。」
失礼ですが、何か器具を身体に入れてるんですか?
おばさんは首を振った。そういう訳ではないらしい。
「携帯で、何してたの?何か来たって分かるんでしょ。」
いや、スケジュール整理してたんですけど。
「携帯の電波がね、お腹に当たってちくちく痛いのよ。」
わかったよ。それは。で、なんなんだ?ちょっとあれなのか?このおばさんは。ヤッター。だったら、いろいろ話してみよう。
話を聞くと、いろいろ質問をされた。
「みんな、携帯で何をしているの?ゲーム?メール?」
おおかたそんなところでしょうね。
「携帯を使って、電波でお腹を切ったりできるの?」
・・・え?やっぱそういう人なの?うひょー。ラッキー!
「じゃぁ、××パソコンを使って、お腹の虫を上にしたり下にしたりできないの?」
・・・え?何パソコンですか?
「ス××パソコン。」「ス××パソコン。」
結局、何パソコンか分からなかった。ヒロポは「ああ、それは無いと思いますよ。というより、無いです。」と答えた。まぁ、虫は動かせんだろ。
「じゃあ、医療の実験で、電波を使って、お腹切ったりとかもないの?」
「家の中も電波は来るの?」
「電波が来ないところがあるのはどうして?」
「じゃ、今も電波は来てるの?」
いろいろな質問に、ヒロポは答えた。
ヒロポは、ちゃんと、親切に答えてあげてるよ。時々、「ここで思いっきり嘘教えたらどうなるんだろう」と思うと楽しくて、自然と美しい笑顔になった。
「無いのね?本当に(そういうことは)無いのね?」
ヒロポは満面の笑みを浮かべ、「無いです。絶対にないです。」と答えた。
おばさんは少し安心していたが、「おかしいなぁ。」という表情をしていた。
ヒロポも、聞きたいことは質問したよ。
「テレビやレンジやラジオも電波出ていますが、大丈夫ですか?」→「大丈夫。携帯の電波が痛い。」だって。
「今も、無数の電波は飛び交っていますが、大丈夫ですか?」→「大丈夫。でも、腕に傷が出来てるから見て欲しい。」結局、傷は見れなかった。というより、なかった・・・。「白くなってる、ここほら。」だって。
「医療の実験で、(おばさんが)切られると言うことは、(おばさんは)誰かに狙われているということですか?」→「そうだろうねぇ・・・。」いきなり、他人事のようになったぞ!?
「それは、何かの組織ですか?」→「・・・。」答えず。ちょっと難しかったか?
他に、ヒロポは、この世のあらゆるものに電磁波は使われていること、極端な話、光も電磁波の一種であること、優先席は携帯の電源をオフにするようになっているから、優先席に行ってはどうか、など、いろいろ教えてあげた。
最後に、おばさんは「病院に行っても、更年期障害っていわれるのよ。フフフ。」

笑っていた。そして、
「でも、そういうことって、無いとは言えないでしょ?」
と、ズバリ、この世は全て夢であるかもしれない、という哲学的なことを聞いてきた。これも、素直に答えるしかないね。
「ないとは決していえません。」
今度は、本当に納得した様子で、別れの挨拶をすまし、新宿で降りていった。
見かけは50過ぎのおばさんだが、顔はきれいだし、話し方も気品を感じるし、身なりもきちんとしていた。
しかし、ビニール袋とボストンバックを持っていたので、路上生活の方かな、とも思った。
プレコックス感って言葉、良くないと思うけど、それもなかった。
また、会いたいなぁ。