雷様にオヘソとられた。

むかーしむかし、雷の怖さを知らない子どもが、稲光を見ようと外をウロウロしていると、美しい着物の女性が現れて、ちんこを切り取って回った。
親はびびった。大切な後取りがある日突然オカマになるんだもの。
でも、昔の子どもは日が暮れたあとは暇だし、雷ってカッコイイから外に出た。子どもは今も昔も親のゆうことなんて聞かないものだ。
困った昔の親たち(PTAみたいなもん)が話し合って、雷様はオヘソを取るって話を作った。
その話はまたたく間に全国に広まって、子どもたちは雷の鳴る日は外に出るのをやめた。よって、ちんこは切り取られる事はなくなった。
美しい着物の女性は、美しい着物を着たまま、首を吊って死んでいた。顔は見たことないくらいブスだと自分では思っていたらしいけど、そんなにブスじゃなかった。


嘘だと思ったら、おじいちゃんやおばあちゃんに聞いてごらん。
信じた自分はなんてバカなんだって思うから。




雷があんまり怖いから、ガタガタ震えるより、外を眺めてたんだ。
とりあえず、ブレーカー落として、ラジオでキヨシロウと陽水のデュエットを聴いたりして、夜ってホントに暗いんだなって思ってた。
今日もちょっと悲しいことがあったし、暇だったから、歌を歌ってた。


見上げてごらん
夜空の星を
小さなフンフフン
フフフン フンフフン


星なんか見えなかったし、歌詞は後半フンフフンだし、雨が降り込んで、畳がグショグショになってきたので、ピシャリと窓を閉めた。


君の頭に雷が落ちて来たら、真剣白羽取りで受けとめるてみせる!
そんで、ビリビリになったヒロポは、君に骨まで透けて見られてしまうんだ。きっとヒロポの考えてることも見られちゃうな。骨の部分が点滅して。
落ちてきた雷は後で電力会社に持っていって寄付するとして、ヒロポは君に話しかけるんだ。
大丈夫かい?って。


そのために、真剣白羽取りを練習してた。
手をこう、頭の上でパチン!と。
でも、2・3回でやめた。


あとは、やることないし、このところ寝不足だったからベッドで横になった。
オヘソとられちゃまずいから、両手でしっかりオヘソを押さえて寝た。
ちなみに、当然のごとく、ヒロポは家では全裸です。


オヘソ隠してチン隠さずとは昔の人もよく言ったものだよね。
歌ってるときも、真剣白羽取りを練習しているときも、寝る時も、君のこと考えてるときも、やっぱり全裸だった。


でも、恥ずかしくない。
真っ暗だから。
だけど、たまに、雷が光って、恥ずかしくなる。


やあ、君はこの時間、どうしてたの。
何考えてたの?
大丈夫なの?
また、会いたいな。