家賃のさげかた

ヒロポの住んでいるボロアパートは家賃7万円の高級アパートだ。
畳は床が抜けそうなほど柔らかいし、隣人の声は丸聞え。夜中に、「地震か!?」と思うほど小きざみに揺れたかと思うと、女の苦しみとも喜びともつかぬ叫び声が聞こえる。(心霊現象?)ついでに申し上げると、隣の八百屋が潰され、春にはメジロ、夏には八百屋の孫が虫取りあみ、秋には栗がなり、冬には雪景色の楽しめた美しい庭も無くなり、巨大マンションが建てられることになった。それによって、うちの屋根裏にはネズミーランドが建国され、毎日ヒロポは「今日こそ天井が落ちてくるんじゃないか?」と思いながらネズミの運動会を聞いている。


今月、そんなクソアパートに更新料11万円を払わなくてはならない。家賃1ヶ月と保険料に加え、手数料を合わせるとこの金額になる。全くもって、こういうのをファッキュと言うんだろうな、今月の家賃と合わせれば18万。おお、ジーザス。
ヒロポは取次をしている不動産屋に超爽やかな人間を装い電話し、店に潜入。
「家賃を6万にしねえと目の前でウンコ食うぞヒャハハハハハ!」
とパーティジョークを叫び狂い、あまつさえ、
「家賃6万にしてくれるまで帰らんもん!」
とだだをこねた。
不動産屋は寡黙なおじさんで、
「ろ、6万?大家さんに聞いてみますが…。」
と約束してくれたので、ヒロポはクソアパートに帰って寝た。
小向美奈子たんが出てくる夢を見ていたら、すぐに不動産屋から電話があって、
「大家さんに聞いたら6万で良いそうです。保険は後で入るとして、7万5千円くらいになるので今から来てください。」
と言うことだった。


やったー!
家賃が1万円も安くなった!
「言ってみるもんですね。」
不動産屋がそう言ったのを聞いて、ヒロポもそうだなと思った。
これからはクソアパートなんて言わずに、ボロアパートくらいにしとこうと思います。