帰り道、僕はツイッター覗きながら心斎橋から梅田に向かっていた。
23時30分。
あと30分で「ワッツーシの日=8月24日」が終わってしまう。
さっきまでの、興奮。すごかったな。
ワッツーシゾンビは、関西で活動するインディーズのベースレスツインギターの3人組バンド。
ものすごい強烈なリズムで僕たちを躍らせる。僕たちは興奮する。そのリズムと叫びまくるユニークな歌詞とギターリフに身を任せると、せつなくって涙が出てくる。
ワッツーシゾンビはインディーズバンドだけどすごい人気で、関西から飛び出して日本各地で多くの人々を熱狂させている。
日本の不思議なヒットチャートの裏で、「極端な進化を遂げたバンド」っていうのがたくさん存在する。
「日本の不思議なヒットチャートの“裏”で」と書いたけど、これは世間一般の感覚に合わせた説明をしたわけで、実際は「日本の不思議なヒットチャートと“平行して”」アンダーグラウンドな音楽は日々演奏されていて、進化を続けている。
「売れてるモノが表」「あまり知られていないモノが裏」という分け方は通用しないんじゃないかな。
音楽のこと好きだからやる人はやるし、何より僕はワッツーシゾンビのライブで彼らの奏でる音楽と、彼らの事が好きな人が大勢集まって、みんなで踊り狂って叫んで楽しんでいるのを目の当たりにしたんだ。
かく言う僕も楽しんだ者のひとり。
不肖ヒロポ、この度、なんとワッツーシゾンビに見出だされ、ワンマンライブのスペシャルゲストとしてパフォーマンスやらせていただいた。
僕は自分がやっているバンド名そのままで、「DJドタマカチワルド」と称して、下品でバカでどーしよーもなくて良いところなんてひとつもない、あるとすればだけどめちゃくちゃ衝撃的なとこ、ってのをやった。
今回持ち時間1時間をいただき、「今日がステージに立つ最後になってもいい」覚悟でやって来た。
最後の「めざせポケモンマスター」をやった後、くたくたになって視界が暗くなってきたばかりか、しばらく耳が聞こえ辛くなっていたので「よし! やりきった! 恥ずかしくて死にたいけど!」と自己満足をした。でも本当はもっといろいろ考えていた事があったんだけど、半分くらいしかできなかったのが残念だった。
ワッツーシゾンビの演奏は、毎回が「今回が最高のライブだ!」と思わせてくれるんだけど、今回もやはりそう思わせられた!
特に今回は年に一度の「ワッツーシの日」だから、内装も芸術家とコラボレーションしていて、凄く凝っていた!
まるでちびっ子の頃再放送で見た仮面ライダーとかなんとかレンジャーの悪者の基地みたいにおぞましくファンシーになっていた!
そんな空間で強烈な音楽を体感して、僕たちはみんな一緒に踊りまくって楽しんだ。
アンコールも終わって、じゅげむさんが「ありがとぉーーー!!!」と叫んだ時に、みんなで拍手しまくった!
素晴らしいライブが終わった後、昔ミシガンとゲリラライブツアーやったときに知り合った某さんと話をした。
僕は自分のパフォーマンスはひとりよがりでダメダメだと思っていたけど、「そんなことねーよ! めちゃくちゃよかったよ!」と言ってくれたのでほんとに「よかったー」と思った。
関西の大好きなバンド、チッツからも声をかけてもらった。「今日間に合わんでドタマカチワルド見てないんやけど〜」とすまなそうに言っていて、「見てなくてよかったー。でも君にも見てもらいたかった☆」と思った。会えてうれしかった!
あんなに下品な内容だったのに、結構女の人から話しかけられたり写真撮られたりしたので、ますます恥ずかしくなった。
でも、無事にどたまかちわることできてよかったなー。
ワッツーシゾンビ、地下一階のスタッフの方、内装の方々、出会った方々、に感謝を込めて! ありがとうございました!
今回ひとりの大阪遠征だったけど、帰り道はさみしくなかった。
出発前は不安と緊張で暗い気持ちだったけど。UFOクラブで元気もらえたのも良かったけど、何より大阪で友達も出来たし、「また大阪来てや!」とたくさんの人に言ってもらえたし!
メグルさんから「君のDJは下ネタやない! 超越しとる!」という言葉、アンリさんから「君との出会いは衝撃やっ!」という言葉、じゅげむさんからは「バイナリキッド、注目しとったんよ! これからもがんばり!」という言葉をいただいた。恐縮と共に励みになりました!
これから作りたい曲のアイデアもあるし、東京帰ったら長州君に誘われた「東京にもあったんだ!2010」と水中、それは苦しいのジョニーさんに誘ってもらえた円盤でのライブがある!
ドタマカチワルドやったるぞー!
「また来るぜーーー! 大阪ッ!」
日記の最初に戻るけど、僕はちょっと気取った心持ちで御堂筋線に乗り込んだんだ。
東京と違って、こんな時間でも電車の中は人が少なくてのんびりしてる。
向かいの席の女性が僕の方を見る。
じーっと見てる。
僕が視線に気付いて目を合わすと、さっと目をそらされる。
さっきまで女子と話をしていたせいで、僕は「おいらがドタマカチワルドだぜ、ふんふん!」と思っていた。
ふと窓ガラスを見ると、そこに「終日 女性専用車両」というピンクのステッカーが貼られていた。
ぎゃあ、僕はなんてアホなんだ!
よく見まわしてみたら、周りは女性ばっかりだった!
大阪ってのは、一日中女性ばっかりの車両があるのか!
消えてしまいたい気持ちであわてて隣の車両に移ったら、くたびれ果てたサラリーマンで満席。
やっぱり東京も大阪も同じだねぇ。お疲れ様です!
極端な進化を遂げたモノってのは凄いパワーを持っている。
信念があるものって、強いよな。
そういうのが「個性」っていうのかな。
その凄いパワーを感じたときに、僕は感動してしまう。
東京も、大阪も、他の地方だって、世界中どこだって何だって同じ。
バンドじゃなくったって、サラリーマンだって八百屋だって同じだろうな。
君が今、挑戦していることも同じだと思う。
僕も、考えて考えてやってみて失敗してまた考えて繰り返して、進化すっぞー! と思いながら、東京に帰った。
このことには終わりなんて無いんだろうなぁ。やったねヒロポ。
どうせ生きるなら、僕はみんなをびっくりさせながら生きていたいなぁ。
おしまい