世界がもし100人の野獣のリリアンだったら

誰しも一度は考えたことがあるだろう。

「バンドでボーカルやってみたい!!」

と。

恥ずかしいことに僕は昔から何度もそう思ったし、願ってさえいた。
え、お前はすでにバンドでボーカルやってんじゃないかって?
違うのだ!
ギターボーカルじゃなくて、ボーカルだけやりたいの!
自由に暴れまわって、歌っていたいの!


ふいにそれは訪れた。あれは僕の誕生日のことだ。
「ちょっと話がある」
と、安田さんからfacebookで連絡があった。
安田さんとは現在ディープなエロ業界にライターとしてその名を馳せる、安田理央、その人である。
というか、かつて80年代のインディーズを席巻したナゴムレコードのバンド、「モデル・プランツ」のボーカルの方だ。
大先輩だ。あんまり話したことないけど、facebookの記事にコメントを付けてしまった、その返信だったのだ。
やりとりを見かけた人から「ヒロポ、お前は何やらかしたんだ」と言わんばかりの突っ込みを書かれた。
え、そんなん言われたら怖いやん・・・・・・。何かやったっけ?
身に覚えもなく、しかし確信もなく、その日、実はなんと誕生日ディズニー(!)とリア充をしゃれこんでいた僕はしばらくびびっていた。
誕生日にディズニー行くと、ステッカーがもらえる。「おまえは今まさに誕生日なのだ」ということがわかるステッカーがだ。
僕はそれを身に付け、「プーさんのハニーハント」で巨大な絵本の世界に紛れ込みながらキャストの方々に「おめでとう!(ニコニコ)」と言われまくりながらも、内心、安田さんという巨大なエロ本の世界にも入り込んでしまい、最早これは夢か現実かエロかもうワケが分らなくなっていた。



そんな中、ついにfacebookのメッセージが届いた。


「話しってのは野獣のリリアンにボーカルで入らないかってことなんだけど」


えっ!? マジで!? 野獣のリリアンに!?

あなたは野獣のリリアンというバンドをご存知だろうか。
この時、僕は正直よくわかってなかったけどヤバさはわかった。
メンバーがやたらたくさん……たぶん10人くらいいて、ていうかおっさん、じゃなくて、東京ニューウェイヴのベテランさんでナゴムの人とか、ゲームクリエイターとかプロミュージシャンやキチガイミュージシャンもいたりするバンドやんけ!!
ヒロポという男がそんな中に入っていいのか!?
迷う!!!!!!
これはすごいことではないか? 何かヒロポはいいことをしたのか? こんな自分でもいいのか!? 


めっっっっっちゃ悩んだけど、そんなそぶりを見せては安田さんのド肝を抜けやしないと考え、
「はい!よろしくお願いします!」
と元気に返信した。
「即答かw」
と安田さん。
ていうかボーカルこれで4人目らしいwww


「考えてみよう〜楽しいことを〜♪」
あっ、ピーターパンの歌が流れてる・・・・・・。
「飛べる〜飛べる〜ユーキャンフラーイ♪」


「きみもとべるよ!」か・・・・・・。
ホント、これマジいい歌や・・・・・・。



さて、「バンドでボーカルやってみたい」と考えた人間の中で、いったいどれくらいの人が考えているだろうか。


「自分の音楽で、世界が変えられるかもしれない」とか
「音楽には人を救う力があるから、それをやる」とか
「音楽は金儲けのためではなくて、聴いてる人を楽しませるためのものなんだ」とか。


僕には音楽の素養もなく、衝動と勢いしか持ち合わせていないけど、野獣のリリアンに加入することにした。
この世にはたくさんいい音楽があるけど、僕にはどれでもいいわけじゃない。
好きな音楽と好きじゃない音楽がある。
けれど、僕はそんな音楽に助けられたことが何度もある。
だから、もしかすると、音楽は僕のこと好きなのかもしれない。
音楽が僕のこと好きだとしたら、僕も誰かを助けることができるかもしれない。



2015/09/28、野獣のリリアンメンバーに歓迎会を開いてもらった。そん時の写真!