痴人の愛

以前、職場でとても美しい人がいるんだという自慢をした。
言っとくけど、とても美人なんだ。
北朝鮮の美女応援団くらい。


その日、ポツリポツリと雨が降りだした。
そんなときにも、ヒロポと美人は各学校を訪問していた。
けれど、おや、美人は、傘をもっていないじゃないの。
話を聞くと、
「私はいくら雨が降りそうでも、傘を持たないんです。
家を出るときに降っていたら持つだけです。」
とのことだった。


もちろんこれは彼女なりの言い訳で、ヒロポの傘に入りたいから、持ってこなかったのだ。
当然、ヒロポは傘を持って来ている。
持って来ているのだが、計算高いヒロポのすること。折り畳みの小さいやつを用意していた。しかも拾ったやつ。
キモオタ(ハロプロとか好き。将来はアイドルと結婚するのが夢)のヒロポだが、傘、良かったらどうぞ、と誘うと、なんと美人はヒロポの傘に入ってきた。
エルメスたん。
かなりの急接近である。


その後、肉屋の前で、トラックの荷台から、豚を縦に半切りにしたやつを運び出す肉屋の姿を眺めたり、サンマ定職をおごってもらったりした。


かなり急接近したふたりだが、お互いの恋心に気付くのはまだ当分先なのであった。
56年後くらいかな。




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