■うんこの人生

いかがお過ごしですか?
僕は自分の事うんこだと思いました。



「うんこの人生」

うんこは生まれ変わりたかった。
今まさにおっさんの尻から出てきたところなのだが。
赤ん坊だったらオギャーと産声を上げるだろう。
うんこ、お前はおっさんの尻から出てくる下痢便だ。

ブシャァァァッ!

誰もが吐き気をもよおすこの音がお前の産声。

おっさんは「ううっううっ」と唸っている。
苦しそうに。
うんこよ、お前のせいだ。
お前さえ生まれて来なければ。



うんこは生まれ変わりたかった。
冬の駅前のデパートの、街路樹に足を休める渡り鳥。
彼の腸内で成熟しながら南の国に連れて行ってもらいたかった。
バナナの木やヤシの木の根元に、この国の花の種を運んでみたかった。
うんこはまだ見ぬ空へと思いをはせた。
空を飛んだ事がないのに、うんこのくせに、憧れた。



うんこは生まれ変わりたかった。
南の国に行くのが無理ならば、せめて道端に転がる犬のフンになりたかった。
なんの役にもたたない下痢便よりかは、土になり肥やしになった方が幾分かまし、と言える気がした。
もしも飼い犬のフンとして生まれたならば飼い主に拾われて棄てられる事になるだろうが、飼い主にとっては愛しいペットの愛しい排泄物として認識されるはずであり、飼い犬にとっては「人間って犬のうんこ集めて変なの」と疑問の対象になるはずだ。
どちらにせよただ下水道に流される今の自分よりかは有意義に思えた。

幾分か、まし
幾分か、まし
今よりかは

うんこは知っていた。
自分の人生が一度しか無いと言う事を。
うんこは知っていた。
自分はおっさんの尻から出てきた下痢便であり、それは変えられないということを。

うんこよ、お前は許すな。
何もかもを、ダメな自分ですらありのままを受け入れようとする人々を。
うんこよ、お前はあらがえ。
自分自身の醜さに。

うんこよ。
お前は美しくあれ。

■▲●next live 2011/03/28@大塚Meets
●狂犬の中の狂犬
ハジメタル(ex.ミドリ)
●松本章ソロユニットGaraponzoo(key小宮一葉、dr小銭喜剛
●カミイショータグループ
●ドタマカチワルド