■話すは放つ、描くは欠く

■話すは放つ、描くは欠く

別れや出会いが偶然と運命の下に行われている。
偶然も運命も、結果は同じ事のように思う。
人間と触れ合うのは、その「闇」に触れようとしている事だ。
闇に触れようとしても、そこにあるのは壁だ。地面だ。
闇そのものに触れられる訳がない。



彼は僕の憧れの人だった。
僕は今井次郎が大好きだ。
闇こそが光を表す、美だ。
けれど彼は僕にとって優しい光だった。
闇だろーが光だろーが、いずれにしても触れられるわけがない。
人間になんて、触れられる訳がない。
光と闇を隔てているのは水面のようなもので、生と死も同じ事なんだと思う。
まだ、次郎さんにさよならは言わない。