いずれにしても

のんびり暮らしたいよなぁと思う。


子どもの頃のヒロポは実にのんびりしていた。


夜中、決まっておねしょをした。
それはそれは凄いのをした。
父親と母親に挟まれて寝ていたので、どちらかが気付いたらヒロポのパンツを脱がし、ポイッとベッドの下に投げ捨てた。
だから、親が脱がしてくれないときは自分で脱いでポイと投げ捨てた。
親がやってたからそれでいいんだと思ってた。
それから、たいがい怖い夢を見て夢の中で泣いた。
朝起きると、目ヤニがびっしりついていて目が開かなかった。
だから、マツゲを指ではさんで、目のはしっこから順に目ヤニを取っていった。
次に、泣いたことによってハナクソもたくさん溜っていたので、ハナクソをほじった。
いつも、寝ボケて、
「鼻の穴っち2個やったっけ。つまんね…。」
と思った。
ハナクソもベットの下にポイポイ捨てた。


ヒロポのはっきりとした記憶は4歳の頃からある。
ヒロポは1980年生まれなんだけど、初めて観に行った映画の事を良く覚えている。
84年公開の『ゴジラ』だった。
ヒロポはゴジラを観て泣いた。
怖くてじゃなくて、ゴジラが火山に落ちて、こんなん死ぬやん!と思ったから。
父親と観に行って、ヒロポは父親に泣いてるとこ見せたくなかったから必死で隠した。
外に出たら、さっきまで明るかったのに日が沈んで真っ暗だった。
初めて、起きているのに夢の世界にいた経験はそんな感じだった。

毎朝、ハナクソもほじり終えたら、耳の穴で遊んだ。
自分の指がゴジラで、耳の穴が火山で、ゴジラが火山に落ちるシーンを再現して遊んだ。
ゴジラは耳たぶの溝をなかなか移動できずに、ミサイル攻撃なんかをやっとの思いで逃げて、
「ギャーン!」
と、断末の鳴き声をあげて落ちていった。
まだ寝ボケている場合は、
「耳の穴っち2個やったっけ。つまんね…。」
と思った。


その後は、
「あ〜また寝ボケちょったんや…。」
と思いながら、明るい窓にキラキラ光るホコリをボーッと眺めていた。
気付くと、自分の眼球の外側に浮かんでいるホコリ、まばたきすれば高速で動く、目で追えば追うほど逃げる眼球内ホコリを眺めてひたすらボケーっとしていた。


のんびりっていうか頭おかしいな。