■空の上から

おばあちゃんのお通夜が終わって、葬儀も火葬も終わって、家を掃除して、気が付いたら飛行機に乗って東京へ向かっている。
19日の夕方、おばあちゃんは苦しむ事なく生涯を終えた。


28年前に大怪我をして片腕が上がらなくなったおばあちゃん。それでも百姓仕事を続け、また大怪我をして、内臓もほとんどなくなって。それでも百姓やって、またまた大怪我やって。両腕ほとんど動かなくなったけど、やっぱり百姓続けてた。無茶苦茶なおじいちゃんが死んで、自分はガンになってもやっていた。なのに「今が一番幸せや」と言っていた。
僕は、僕と一緒にいてくれたおじいちゃんのおばけに頼んだ。おばあちゃんと一緒にいて欲しくて、僕の中のおじいちゃんをおばあちゃんの元に向かわせた。
ブログを見返したら2010年の1月だった。
http://d.hatena.ne.jp/hiropooooo/20100103
おばあちゃんは最後の数年は呼吸器を付けて、小さな菜園で野菜と花を育てていた。ヨボヨボ、というより、ヨチヨチ、に近かったけれど。火葬が済んで骨を見ると、大腿骨の代わりにネジで止めていた大きな金属が残っていた。

雨が上がったので明るいうちに、もう何年も人が入っていない裏の山へ足を踏み入れた。道だった場所が、道でなくなっていて、おばあちゃんのしいたけ林も朽ち果てていた。少し胞子が残っているのか、おばあちゃんが手を加えなくても幾つかのキノコが自生していた。きっとキノコにとって居心地がいい場所なんだろう。
それにしても、「誰もいない場所」って、「誰かいる」気がする。
人間は「ひとりになりたい」なんて本当は考えないのかもしれない。一生懸命、まじめに生きたとしても、報われなかったりバカにされたり、いいように使われ続けたりする人が大半だと思うけど。人生苦労ばかりだったおばあちゃんもひとりで山に入った時にこんな事を考えただろうか。大きな家でたったひとりになったおばあちゃんが「今が一番幸せ」と言っていたのは、自分以外の者たちとの繋がりを信じてくれていたからだと思いたい。
僕はおばあちゃんが大好きだったし、これからも大好きだ。一緒に田んぼの世話をしたり、しいたけを育てたり、海に行ったり、楽しかったなぁ。


さて、東京に着いた。
僕も今が一番幸せだ。
何とかしなきゃならない事もあるし、ボロボロでショボショボになってるけど、そう思ってる。


大分で最後に撮った写真貼っとく!!